第9話:【画面公開】65歳おひとりさまが設計した「防衛Notionシート」の全貌

まずはお詫びから始めなければならない。
第7話の末尾で「次回はNotionの全貌を公開する」と大見得を切っておきながら、
前回(第8話)お届けしたのは、あろうことか会津旅行のパッキング話だった。

「予告倒れか?」と思われたかもしれない。
だが、言い訳をさせてもらえるなら、
あの旅の「スーツケース1つ」という強烈な体験がなければ、
私のNotionは今もタイトルだけの真っ白な墓標のままだったはずなのだ。

旅の装備から導き出した「ノートPC・スマホ・冷蔵庫」のコア装備3行。
この小さな突破口を開いたことで、私の頭を覆っていた「終活の重圧」は跡形もなく吹き飛んだ。

「すべてを一晩で埋める必要なんてない。まずは人生の棚(フレームワーク)を作ればいいのだ」

そう確信した私が、ついに打ち立てた「6本の柱」。
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話遅れとなってしまったが、これが安堂玲子の設計した
「おひとりさま仕様書」の全貌である。

▲ Notionで構築中の「おひとりさま仕様書」トップ画面。まずは大枠の設計図から

画面を見ていただければ一目瞭然だが、個々のページの中身はまだほとんど空っぽだ。
テーブル(表)も枠を作ったばかり。 だが、これでいい。むしろ、これがいいのだ。

紙のエンディングノートなら、「空欄だらけのページ」は挫折や自己嫌悪の象徴にしかならない。
しかし、デジタルであるNotionにおいては、この枠組みこそが「思考の整理棚」として機能する。
頭の中にあれこれ渦巻いていた得体の知れない不安を、
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つの引き出しに分類してラベルを貼っただけで、脳のメモリが一気に解放された。

私が設けた6つの項目は、以下の通りだ。

  1. 緊急連絡先・基本情報 突然倒れて救急搬送されたとき、医療従事者や警察が真っ先に必要とする情報。持病や保険証番号、そして「誰に第一報を入れてほしいか」の初動ルート。
  2. 契約・お金の整理 銀行口座、クレジットカード、証券。そして見落としがちなサブスクの一覧。死後に無駄な引き落としが延々と続く「課金地獄」を防ぐための防衛線。
  3. デジタル資産・アカウント スマホやPCのロック解除のヒント、主要なSNSやGoogleアカウントの扱い。残された友人が一番困る「画面の向こう側のブラックボックス」を解体する鍵。
  4. 死後事務・公正証書などの指示書 第6話で確認した、友人へ手続きのバトンを渡すための法的ルート。公正証書の保管場所と、具体的な委任内容の仕様書。
  5. 持ち物・家具・家電(引越しリスト) 新居へ持っていくもの、不用品回収へ回すもの、処分するもの。引越し準備そのものであり、そのまま残置物処理マニュアルへとスライドする。
  6. コア装備リスト 第8話で作った、旅の荷物から導き出した「これさえあれば生きていける」最小限の生命線リスト。

上から順番に埋めていく必要などまったくない。
日々の暮らしの中で、思いついたときに、関係する引き出しを開けて1行ずつ書き足していけばいい。
状況が変われば、キーボードで上書き(アップデート)するだけだ。

おひとりさまの終活とは、完璧な遺言書を一筆認めるような「重たい儀式」ではない。
自分の暮らしに合わせて仕様をバージョンアップしていく、
極めて合理的で軽やかな「システムの運用」なのだ。

骨組みは完成した。
さて、次はこの仕様書を携えて、現在もっとも頭を悩ませている「現実のサバイバル」
――
難航を極める新居探しと、移住1年目を生き抜くための資金防衛へと舵を切ることにしよう。

(第9話・了)